株式会社晋遊舎に対して「マンガ大嫌韓流」の出版についての抗議と要求を送りました。

本日、株式会社晋遊舎 代表取締役社長 西尾崇彦殿あてに、以下の抗議と要求を送りました。要求に対する回答が送られてきたら、またご報告いたします。


株式会社晋遊舎
代表取締役社長 西尾 崇彦 殿

「差別反対東京アクション」の石野雅之と申します。「差別反対東京アクション」は、東京や各地で行われてきたヘイト・スピーチ(差別扇動表現)デモや様々な差別言動について、これらを社会から無くすべく活動をしている市民団体です。

以下、貴社が刊行した『普遊舎ムック「マンガ大嫌韓流」(作:山野車輪 原作協力/丹波秀明)』に対する抗議と要求をお伝えします。

「マンガ大嫌韓流」は、「嫌韓流シリーズ」最新作として御社より発行された書籍です。過去に出された「マンガ嫌韓流」も幾多の虚偽記載を含む極めて差別的な内容として、各方面から厳しい批判を浴びてきました。

今作はさらにそれに輪をかけた差別扇動本として、すでに多くの社会的な批判を浴びています。全7話とエピローグからなる内容は、虚偽(デマ)記載に満ちたものです。

第1話「慰安婦像と反日プロパガンダ」は、社会科学的に認知されたソースを示すこともなく、それゆえに虚偽と悪意に満ちたものとなっています。第1話に関する批判は、現地取材を行った小山エミ氏がWebページに簡潔にまとめられているので是非ご覧ください。

http://macska.org/article/410

またこの漫画の情報ソースになっていると見られる、GAHT:「歴史の真実を求める世界連合会」による慰安婦像設置に反対する訴訟に関しては、裁判所がスラップ裁判(SLAPP : Strategic Lawsuit Against Public Participation・市民参加を妨害するための戦略的訴訟)であると認定しました。SLAPPとは批判的な言論をやめさせようとして起こす恫喝的訴訟とも呼ばれるもので、米国の反SLAPP法はその適用基準も極めて厳しいものです。それにも関わらず、GAHTの主張(「マンガ大嫌韓流」に記載されている内容もこの主張とほぼ同じ)は正当性をもたない、言わばいちゃもんとして全面的に退けられています。これは、2014年8月の判決であり、「マンガ大嫌韓流」の発行以前の事実であることも、重要な点として指摘しておきます。

虚偽記載という意味では、第3話 「慰安婦問題の成り立ち」がとくに酷い内容となっています。これらの主張は、国内においても国際的にも到底通用するものではないのは自明の理です。慰安婦の実態については、元日本軍将兵・軍属が手記や証言のなかで慰安婦に言及している口述資料(Oral History)というものがいくつも存在しています。こちらのWebページはそれら口述資料をまとめた一例です。是非ご覧ください。

http://d.hatena.ne.jp/dj19/20121213

また、元自衛官である泥憲和氏が、数々の資料を元に慰安婦に関する論考をまとめられています。こちらのwebページも是非ご覧ください。

http://members.jcom.home.ne.jp/samest/contents/TheFactOfComfortWomen_byDORO.pdf

第2話「告げ口外交とディスカウントジャパン運動」の記述も独断と偏見に満ちたものであり、何ら科学的根拠を示すことなく、以下の記述にあるように読者を排外主義、ひいては戦争に誘引するものであると言えます。

「韓国とはそもそも李承晩率いる反日テロリスト集団によって建国された国だ」「反日は建国の理念であり韓国人のアイデンティティなんだ」P52

「敵性外国人でテロリスト予備軍である在日韓国・朝鮮人を日本から叩き出すのよ!」P71

「日本人は自存自衛のため、また韓国の暴走を止めるため・・・覚悟を決めて戦うしかない」P73

さらに第5話「『強制連行神話』と『在日特権』」には以下のような記述があります。

「在日という反日外国人の集団がこの日本に55万人も存在しているという恐ろしい現実」P142

「私たち嫌韓流同好会は日本社会に害をなす不逞在日を今こそ日本から叩き出すことを提唱したいと思います!」P143

「韓国人の口から排出されるものはCO2とキムチ臭と嘘だけなのよ。」「韓国人は今すぐ呼吸するのを止めてほしいわ」P146

「被害者のふりをした「当たり屋」「ゆすりたかり集団」それが在日韓国人の正体なのよ」P149

「在日特権の存在を否定する在日は即刻、祖国に帰りなさい!」P156

「日韓戦争が勃発した場合、在日が日本国内で武装蜂起する可能性が非常に高い」P160

これらは出自や民族的属性をひとくくりにして、人格を否定し、他者の心身を攻撃するヘイト・スピーチ(差別扇動表現)そのものです。

第6話「朝日新聞と従軍慰安婦問題」には、民族差別のみならず特定個人への誹謗中傷も繰り広げられていることも看過できません。

「植村隆には反日に手を染めた者は悲惨な末路を遂げるという教訓を世に知らしめるための生贄になってもらおう」P199

引用してきたこれらの記述はごく一部にすぎませんが、差別扇動、ひいてはジェノサイドを誘引するものであることは疑う余地はありません。あろうことかP166には、「攻撃こそ最大の防御、君たち在日が謝罪するまで殴るのをやめない」のセリフと共に、在日コリアンと見られる登場人物を殴り続けるシーンも描かれています。私たち日本人には、1923年の関東大震災時に「朝鮮人虐殺」が行われたという歴史があり、この歴史を振り返るからこそ、このような記述を見逃すことは出来ません。

エピローグで「真の日韓友好への道を」との表記で締めながらも、それまでの内容は民族蔑視にまみれたものであり、独善的で排外主義に基づく内容となっています。繰り返しますが、「マンガ大嫌韓流」の内容は差別を扇動するものであり、社会に憎悪を拡散する役割を担っていると言っても過言ではありません。

これら一連の表現を「漫画だから、フィクションだから」などと言い逃れすることはできません。作者、原作協力者の意図であることはもちろんのこと、これらの欺瞞、デマ、誹謗中傷を盛り込んだ作品が出版に値すると判断した貴社の、社会に対する姿勢が込められているものと判断せざるを得ません。

日本国憲法 第21条で言論の自由は保障されているとは言え、それは他者の人権(権利)を尊重する上で成立する概念であることは、近代法の考え方から言うまでもないことです。また既に日本が批准している「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の趣旨に照らしても、「マンガ大嫌韓流」は差別を助長し扇動する刊行物であると言っていいでしょう。

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約

第4条
締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。

本書の奥付には、次のような「ご注意」と題する記述があります。

「また、セリフの一部に差別的なニュアンスを感じられる方がいらっしゃるかもしれませんが、作者および出版社には、差別の意図はまったくございません。この作品は「お互いを知るところから真の友好が始まる」という信念に基づいて描かれており、私たちがこれを出版致しますのは、作品の根底に流れる「日韓友好」「差別反対」「歴史再考」などのテーマを広く社会に訴えることに意義があると考えたからです。」

「差別的なニュアンスを感じる読者」の存在を認めつつも「差別の意図はまったくない」と強弁する姿勢はそもそも矛盾であり、差別の本質を無視した倒錯した「理屈」にすぎません。また、

「ごく少数のまともな韓国人には対話のドアを開けておくべきかも」「活動の大義名分として一応アリバイ的に友好を掲げておくことには特に反対はしないわ」P251

などの記述は、「日韓友好」と記述することそのものがまさにアリバイ的であり、「日韓友好」という言葉を使いつつその意図が真逆であることは疑う余地はありません。

明らかな虚偽をはじめとして、科学的検証にも到底耐えられない様々な記述、そして民族差別とジェノサイド扇動、戦争誘引に道をひらく「マンガ大嫌韓流」は、「差別と憎悪」を世に拡散するものです。私たちは「マンガ大嫌韓流」の作者・原作協力者ならびに出版元である貴社に対し強く抗議します、また、貴社に対し次の2点を要求いたします。

1.貴社は「マンガ大嫌韓流」の内容を精査し、虚偽の記載について訂正と謝罪を貴社Webページに掲載すること。

2.「マンガ大嫌韓流」のような差別扇動本が社会へ与える影響を自覚し、言論出版界の一員として今後再びこのような書籍の出版を行わない旨の宣言を、貴社Webページに掲載すること。

私どもからの抗議を真摯に受け止め、2項目の要求については2015年5月1日までに誠意ある回答を送るよう求めます。

2015統一地方選挙候補者アンケートのサンプルを作成しました。

すでに道県知事選挙、政令指定市長選挙の告示が行われ、統一地方選挙が始まっています。

差別反対東京アクションとしても、これまでのように候補者に対してヘイトスピーチ対策についてのアンケートを行う予定で準備を進めています。

他の地域でも同様な取り組みをされるところもあると聞いておりますので、私どもで実施を予定しているアンケート用紙をサンプルとして公開いたします。それぞれの地域の実情に合わせて、ご自由にカスタマイズしてお使い下さい。

アンケートの返送受付については、efaxを利用すると便利です。30日間は無料でトライアルが可能ですので、ぜひ活用してみてください。

インターネットfax【eFax】

2015統一地方選アンケート テンプレート(Microsoft Word書類(.doc))

差別反対都庁前アピールは、次回(3/31)の開催をもって、不定期開催に変更させていただきます。

 3月27日(金)に、東京都議会の平成27年度第一回定例会が閉会しました。この定例会において、ヘイトスピーチを止める、やめさせるための条例、意見書、宣言などは、議案としても提出されないまま閉会となりました(提出議案の一覧はこちら)。

 私たち差別反対東京アクションは、2013年10月から東京都に対し、「行政が責任を持ってヘイトスピーチデモを止めるための具体的な対策を講じること」を求めて、「差別反対都庁前アピール」を行ってきました。約1年半この活動を続けてきましたが、その間、国連人種差別撤廃委員会からの勧告、舛添都知事から安倍首相への申し入れに基づく自民党内でのヘイトスピーチ対策PTの開始、京都朝鮮学校前で行われた街頭宣伝を人種差別に基づく犯罪と断罪した最高裁判決、そしてなにより、昨年9月の東京都国立市議会での「ヘイトスピーチを含む人種及び社会的マイノリティーへの差別を禁止する 法整備を求める意見書」の採択から始まる、国に対しヘイトスピーチ対策を求める全国の多くの地方自治体での意見書採択の流れを受け、東京都としてもなんらかの態度を表明するものと期待していましたが、残念ながらその期待は見事に裏切られました。

 差別反対都庁前アピールは、これまで58回、のべおよそ1,500人の方が参加して行われ、多くの皆さんの差別に反対する声、民族、人種差別だけでなく性差別、性的指向差別に反対する声を、都庁に届けてきました。しかしながらこの定例会の結果を受け、私たち自身がより強力な影響力と圧力を持つ団体に進化しなければいけないと考えています。そのための組織作りを検討し、具体的な活動内容についても見直す時期に来ていると考えています。

 そこで、差別都庁前アピールは次回の開催をもって定期開催形式を一旦中断し、情勢等を見ながらより効果的なアピール行動として、不定期開催といたします。そして開催形式の変更によって余裕の出たリソースを、より強力な影響力と圧力を持つ団体に進化するための準備に振り分けることにいたします。

 これまでの皆さんからの力強い支援に深く感謝いたします。また、これからの進化に向けた皆さんのご理解と引き続きのご支援も、お願いいたします。

【第59回差別反対都庁前アピールのご案内】
日時:3月31日(火) 19:00〜20:00

「安倍政権NO!☆0322大行動」日比谷野音集会での差別反対東京アクションからのアピールスピーチ原稿

差別反対東京アクションを代表して発言します。

悪夢のような言葉ヘイト・スピーチ

良い韓国人も悪い韓国人も殺せ。

南京大虐殺じゃなくて鶴橋大虐殺を実行するぞ。

国内外に住むマイノリティの尊厳を大きく傷つけてきたヘイトスピーチ。それは憎悪と暴力をまき散らし、私たちの住むこの社会そのものを破壊しています。

まず言いたい。特定の民族をひとくくりにして、差別を行ってきた者たち。ヘイトはもう止めろ。今すぐやめろ!

それに対して、見てみぬふりは出来ない、許せない、多くの人達がカウンターとして路上に立ち、その輪は広がりました。そしてメディアで取り上げられ、国連人権規約委員会でも議題のひとつとなり、その結果、在特会などによるデモや街宣の勢いは、少しずつ弱まっています。

しかし、一方、ネットでは相変わらずヘイトが蔓延し、本屋にいけば「排外主義」の本がずらりと並んでいます。また、その矛先は在日コリアンの人たちのみならず、LGBTや生活保護受給者など社会的弱者に向けられています。

安倍政権は、このようなヘイト・スピーチに対して、国連の勧告を無視し、見て見ぬふりを続けてきました。

彼のフェイスブックやTwitter、政権批判のコメントはすぐに削除されます。しかし路上でのヘイトスピーチと寸分たがわないコメントは、毎日毎日そのまま放置されています。

そして閣僚の多くは復古主義の日本会議に所属し、差別団体とつながりがある人もいます。

なにより、当の安倍首相自身が、在特会の元幹部と仲良く写真をとっていたではありませんか。

「ヘイトスピーチの解消に向けて啓発活動を強化していく」と言った安倍首相ですが、その腹の中は、「真逆」です

安倍内閣は戦争準備内閣です。

安倍内閣は、むしろそのためにヘイト・スピーチを利用しています。

歴史修正主義の立場に立ち、韓国や中国を憎み、敵視する世論は彼らにとって非常に都合が良いのです。

差別は戦争を準備します。

1923年、関東大震災、ここ東京の各地で沢山の朝鮮人が殺されました。

偏見と差別は容易に人の心を狂わせ、人の命を奪います。

油断すればまたあの日がやってきます。いや、もう、すぐそこまで来ているのかもしれません。

沈黙は裏切り

キング牧師の言葉です。

いま沈黙を破り、いまここから声上げよう、上げ続けましょう。

ノーヘイト!

一人ひとりの力は小さくても決して我々は諦めない。叫ぼう!

ノー安倍政権!

3月21日(土)国際人種差別撤廃デーに合わせて「ヘイトスピーチ、許さない。」の街頭宣伝を行います。

昨年実施いたしました「国際人種差別撤廃デー 2014 NO HATE, SHARE THE LOVE!」には、多くの方のご参加をいただき、ありがとうございました。渋谷-表参道-原宿の「人種差別撤廃のための渋谷デモ」と、シンポジウム「ヘイトスピーチにNO! 大会議」という2本立て企画を通じて、「ヘイトスピーチ」に対する社会的な認知を高めることができました。

またその後の皆さんのカウンターや宣伝行動、ロビイング活動により、今まで以上に厳しい国連人種差別撤廃委員会から日本国への勧告を引き出し、また京都朝鮮学校への在特会街宣に対する損害賠償の支払いを命じる判決が最高裁で確定し、さらに、多くの自治体でヘイトスピーチ規制、対策を国に求める意見書が採択されています。ヘイトスピーチを行う差別主義者への包囲網は、確実に狭まっていると言えます。

今年も同様な企画を実施すべく検討を進めてまいりました。しかし残念ながら諸々の事情により、デモやシンポジウム等の企画実施については断念することとなりました。昨年に引き続きご参加を予定されていた皆様に対しましては、心からお詫び申しあげます。

さて、本年1月に法務省が「ヘイトスピーチ、許さない。」ポスターならびにリーフレットを作成し、配布を開始していますが、まだまだ認知が低いのが現状です。そこで、私たち東京アクションとしましては、さらに差別主義者への包囲網を狭め、街中でのヘイトスピーチを許さない社会づくりを進めていくために、法務省作成のリーフレットを広めるための街頭宣伝行動を行うことといたします。

本年は、日本国が人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)に加入して20年という節目の年でもあります。改めて、3月21日を人種差別撤廃のための記念日として社会に広めるために、以下のスケジュールで街頭宣伝行動を行います。皆様もご一緒に参加していただき、リーフレットの配布等のご協力を賜われれば幸いです。

■スケジュール

  • 13:00〜14:00 渋谷ハチ公前広場
  • 15:00〜16:00 新宿西口(もしくは南口)

法務省_ヘイトスピーチ許さない_リーフ

法務省リーフレット「ヘイトスピーチ、許さない。」が無いなら、東京アクションで刷っちゃいます。

きっかけはこのツイートでした。

@daiot · 3月2日
法務省の「ヘイトスピーチ、許さない。」のビラをたくさんもらえないかと、自分でプリントしたものを1部持って、横浜地方法務局の人権擁護課に行ってきたのだけど、次のようなやり取りの挙句、2枚しかもらえなかった…。

@daiot · 3月2日
私「これ何枚かいただきたいのですが」
法「データから印刷したものでいいですか?」
私「えっ。これ私が印刷してきたものなので、できれば正規のものを」
法「あまり無いので2枚でいいですか」
私「あまり無いんですか?」
法「本省からあまり送られてきてないんですよ。だからうちにもなくて」

@daiot · 3月2日
横浜地方法務局の本局は立派な合同庁舎に入っている大きなとこだけど、そこの人権擁護課にすら大して数を置いてないようじゃ、法務省の「啓発に力を入れる」は、力の入れ具合が不足しすぎてる気が。

@daiot · 3月2日
そう言えば、人権擁護課には、種々の啓発のチラシがおかれたスタンド?のようなものがあったのだけど、そこに「ヘイトスピーチ、許さない。」のチラシは置かれてなかった。ので、自分で1部プリントしていったのを見せて、「これありますか?」と聞いたんだよね。置かれてもいないという(苦笑)。

舛添東京都知事は東京都総務局人権部のホームページ「じんけんのとびら」で、このように述べています(知事からのメッセージ)。

2020年、オリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。世界中から訪れる外国のお客様に「史上最高・世界一のオリンピック・パラリンピック」と評価される東京大会を実現したいと思います。
オリンピック憲章は、「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別」を禁じています。この理念を東京においても実現しなければなりません。
一方、一部で見られます特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動、いわゆるヘイトスピーチは、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心して生活できる成熟した社会を実現する観点から、あってはならないことと考えています。
日本には、他者を思いやり、尊重し、互いに助け合って生活する伝統と、多様な文化を受入れ発展してきた歴史があります。
東京を訪れる外国のお客様に最高のおもてなしを提供し、東京の魅力を世界に発信していくためには、私たち都民と東京で暮らす外国人が同じコミュニティで生活する構成員である、という意識を持ち、多様な文化、価値観、生活習慣等について理解し、尊重することが何よりも大切です。
都民・国民の力を結集し、東京を思いやりに満ちた「世界一の都市」にしていきましょう。

東京都知事 舛添要一

舛添都知事は国レベルでのヘイトスピーチ対策を行うよう、安倍首相に要望を伝えたことは、皆さんもご存知のことと思います。安倍首相は本年2月17日の第189回国会本会議の場で、共産党志位委員長からの質問に対してこのように答弁をしています(衆議院会議録情報 第189回国会 本会議 第7号)。

ヘイトスピーチについてのお尋ねがありました。
一部の国、民族を排除しようという行動のあることは極めて残念であり、あってはならないことと考えています。
いわゆるヘイトスピーチと言われる行動に対する立法措置については、各党における検討や国民的な議論の深まりを踏まえ、考えてまいります。
今後とも、一人一人の人権が尊重される、豊かで安心できる成熟した社会を実現するため、教育や啓発の充実に努めてまいります。

それに先立つ本年1月16日の法務大臣閣議後記者会見で、上川法務大臣は次のように述べています(法務省:法務大臣閣議後記者会見の概要)。

私の方から一点報告をさせていただきたいと思います。
近年,特定の民族や国籍の人々を排斥する言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的な関心を集めているところでございます。こうした言動につきましては,人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく,人としての尊厳を傷つけたり,差別意識を生じさせかねないものであるということで,あってはならないことであると考えております。法務省の人権擁護機関といたしましては,これまでの「外国人の人権」をテーマにした啓発に加えまして,現在,各種媒体により,こうしたヘイトスピーチがあってはならないということを,御理解いただきやすい形で表しました,より効果的な啓発活動に積極的に取り組むとともに,ヘイトスピーチによります被害などの人権に関する問題の相談窓口につきましても周知広報に積極的に取り組んでいるところです。
その一環といたしまして,既に「ヘイトスピーチ,許さない。」と題した新聞広告による啓発を行っております。
また第二として,法務省のホームページでの「ヘイトスピーチ,許さない。」と題したバナーやページの新設をいたしました。
第三として,法務省のホームページにリンクしたインターネット広告による啓発につきましても取り組んでおります。
これらと合わせまして,相談窓口の周知広報を実施してきたところでございますが,このたび,新たなポスターを作成いたしましたので御紹介いたします。
本ポスターのデザインは,黄色を背景に,黒文字で「ヘイトスピーチ、許さない。」という明確なメッセージを伝えるものでありまして,私どもの断固たる姿勢をアピールするものです。このポスターにつきましては,来週中に配布を開始した上で,法務省を始めとする中央省庁及びその出先機関,自治体,公共機関等での掲示を予定しているところであります。また,今後,このデザインを活用いたしまして,リーフレットや交通広告,あるいはスポット映像によります啓発なども予定しているところです。
(下線は東京アクションで追記)

このように、国レベルでとりあえずは啓発活動が始まったにもかかわらず、そのリーフレットが十分に配布されていないということは、国は本気で「ヘイトスピーチを許さない」社会づくりのための啓発活動を行う気があるのでしょうか?

差別反対東京アクションは、このような国が行っている「啓発活動の実態」に抗議する意を込め、また各地でのカウンターの際の周知活動の支援も目的とし、法務省が作成した「ヘイトスピーチ、許さない。」リーフレット(A4裏表4色カラー)を、とりあえず20,000部作成します。

各地には無償で送付いたしますので、ご希望される方は以下のフォームにてお申し込みください。リーフレットの発送は3/16から開始する予定です。


 

日本テレビ「スッキリ!!」番組担当者あてに「要望書」を送付しました。

2015年2月26日

日本テレビ「スッキリ!!」番組担当者様

要望書

〒169- 0072 東京都新宿区大久保 2-7-1
大久保フジビル 311 ペンの事務所気付
差別反対東京アクション
代表 石野雅之

拝啓

 貴社におかれましては、時下ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。

突然のお便り失礼いたします。「差別反対東京アクション」の代表を務めます石野雅之と申します。私たちはこの社会から差別をなくし、誰もが安心して暮らせる公平公正な社会の実現のために様々な活動をしています。

さて、2015年2月23日放映された御社のニュース番組『スッキリ!!』において、ゲストコメンテーターとして出演されている勝谷誠彦氏の下記の発言について私たちは大きな問題があると考えています。

「いまさら教育しても直りません。こういう国だから孔子は『論語』というものを書いて、礼儀を大事にしようと言ったんだけど、いまだかつて何千年直ったことがない。中国にないのはマナーと民主主義です。永遠にないと思います、僕は」

「日本の温泉地とか、いくつかの高級な場所で知ってますけど、(大勢の中国人観光客を受け入れていると)日本人が来なくなります。僕だって行きたくありません、こんな銀座は。どっちを選ぶか。目先のカネが欲しいのか」
※( )は前後の発言から推察して加筆したもの

「しかもこのカネは中国という共産党独裁の中で、下の人たちから吸い上げたカネで、ごく一部の人たちが持っているカネなんですよね。しかも一人っ子政策で、教育、しつけというものが全然なされていない。そういうカネを日本人として、集めてうれしいですか?」

 中国人など外国人観光客のマナーやモラルについて、ゲストコメンテーターが個人的見解を持ちそれを論じるのは、ニュース番組の性格として当然ありうることです。しかし、勝谷氏の一連の発言は隣国である中国を一方的に「永遠にマナーと民主主義がない国」だと決めつけています。さらに「論語」を巡る歴史認識や「下の人たちから吸い上げたカネで、ごく一部の人たちが持っているカネ」などの社会分析についても、どのような根拠や調査結果をもとに発言しているのか甚だ疑問であり、事実誤認のそしりは免れないでしょう。

 これら一連の発言は、「すべての国および人種・民族は公平に取り扱う」とする御社コンプライアンスの観点から言っても大きな問題があると考えます。こうした民族や人種を一括りにして論じることは差別や排外主義いわばRacismを生む代表的な言説と言えます。

 2014年には国連人権規約委員会において、「日本は人種差別への対策をとるべきだ」という勧告も出されています。

勝谷氏の

「一人っ子政策で、(中国人は)教育、しつけというものが全然なされていない」
※( )は前後の文脈から加筆

 この発言についても、あたかも中国人全員がそうであると断じて、在住する中国人、観光などで訪れる中国人を一括りにして、侮蔑しその尊厳を傷つけるものです。これらの発言は特定民族への蔑視を含む差別的発言に他なりません。この件に関して以下2点、御社の対応を求めるものです。

1.今回の番組について、以下に示す貴社コンプライアンス「番組基準」と「取材・放送規範」に照らして問題がないかどうか精査しその結果を明らかにすること

「番組基準」
国家 すべての国および人種・民族は公平に取り扱い、その尊厳を傷つけてはならない。
「取材・放送規範」
〈人権の尊重〉 取材・放送は、人権を尊重し、不当に名誉を傷つけたり、不当にプライバシーを侵害してはならない。
一、人種、性別、宗教、国籍、職業などによって差別してはならない。

2.上記の結果、問題があると判断された場合は、ゲストコメンテーターである勝谷誠彦氏の一連の発言に関する謝罪もしくは発言の取り消しを制作担当者として責任をもって行いそれを周知すること

 さらに、貴社におかれましては人種差別撤廃条約(外務省のページ:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html)の趣旨に基づき、今後も差別のない公平な社会の実現に向けて、報道機関としての責務を果たしていただきたくお願い申し上げます。

敬具

付記
ご多忙中とは存じますが、回答は遅くとも2015年3月6日までにお願い致します。

アムネスティ年次報告書 2014/2015

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が2/25に年次報告書を発表しました。この報告書の英語版を入手しましたので、こちらで公開いたします。

Amnesty International Report 2014/2015

日本についての記述は以下の通りです。

代用監獄制度について(P26)
人種差別について(P28)
女性への暴力について(P29)
死刑制度について(P29)
国別リポート(P206)

【2014衆院選全候補者アンケート】アンケートの発送を完了しました。候補者の連絡先を公開します。

全立候補者へのアンケート実施のためにまず初めにしなければいけないことは、アンケートの送付先を確認することでした。公示前から某新聞に掲載されていた立候補予定者をGoogleドキュメントのスプレッドシートに入力し、ホームページ等を検索しながら後援会事務所、選挙事務所のリストを作成しました。Googleドキュメントを利用することで、ボランティアの皆さんと一緒に作業の進行状況を確認することができ、無駄なく作業を分担つすことができました。

公示後は各県の選挙管理委員会のホームページで公開されている候補者一覧をもとに、リストから漏れている候補者を追加し、連絡先を確認し、リストの完成を目指しました。しかし、選挙管理委員会から公開されている候補者一覧は県によって仕様が違い、掲載されている項目も統一されておらず、ホームページの確認もいちいち候補者名で確認しなければいけないところも多くあり、また各候補者のホームページにたどり着いても、事務所の住所が掲載されていないなど、想定以上の作業量となりました。

特に比例区単独立候補者でホームページを準備していない候補者も多くあり、当初は政党本部にアンケートを送ろうと考えていましたが、時間的に回答を得られる可能性が低いことから、残念ながらアンケートの対象者を全候補者から地方区立候補者+比例単独候補者で連絡先が確定できた候補者に絞り込むことにしました。

アンケートは日本郵便が提供しているWebレターサービスを用いて、発送しました。発送したアンケート内容はこちらからご覧ください。

今後、アンケート回答を入力するGoogleフォームと公開用のWebページの準備に取り掛かります。

完成した候補者リストは、こちらからご覧になれます。リストには連絡先住所だけでなく、各SNSサービスのアドレスも掲載しています。ぜひご自分の選挙区の候補者の情報を確認してみてください。