日本テレビ「スッキリ!!」番組担当者あてに「要望書」を送付しました。

2015年2月26日

日本テレビ「スッキリ!!」番組担当者様

要望書

〒169- 0072 東京都新宿区大久保 2-7-1
大久保フジビル 311 ペンの事務所気付
差別反対東京アクション
代表 石野雅之

拝啓

 貴社におかれましては、時下ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。

突然のお便り失礼いたします。「差別反対東京アクション」の代表を務めます石野雅之と申します。私たちはこの社会から差別をなくし、誰もが安心して暮らせる公平公正な社会の実現のために様々な活動をしています。

さて、2015年2月23日放映された御社のニュース番組『スッキリ!!』において、ゲストコメンテーターとして出演されている勝谷誠彦氏の下記の発言について私たちは大きな問題があると考えています。

「いまさら教育しても直りません。こういう国だから孔子は『論語』というものを書いて、礼儀を大事にしようと言ったんだけど、いまだかつて何千年直ったことがない。中国にないのはマナーと民主主義です。永遠にないと思います、僕は」

「日本の温泉地とか、いくつかの高級な場所で知ってますけど、(大勢の中国人観光客を受け入れていると)日本人が来なくなります。僕だって行きたくありません、こんな銀座は。どっちを選ぶか。目先のカネが欲しいのか」
※( )は前後の発言から推察して加筆したもの

「しかもこのカネは中国という共産党独裁の中で、下の人たちから吸い上げたカネで、ごく一部の人たちが持っているカネなんですよね。しかも一人っ子政策で、教育、しつけというものが全然なされていない。そういうカネを日本人として、集めてうれしいですか?」

 中国人など外国人観光客のマナーやモラルについて、ゲストコメンテーターが個人的見解を持ちそれを論じるのは、ニュース番組の性格として当然ありうることです。しかし、勝谷氏の一連の発言は隣国である中国を一方的に「永遠にマナーと民主主義がない国」だと決めつけています。さらに「論語」を巡る歴史認識や「下の人たちから吸い上げたカネで、ごく一部の人たちが持っているカネ」などの社会分析についても、どのような根拠や調査結果をもとに発言しているのか甚だ疑問であり、事実誤認のそしりは免れないでしょう。

 これら一連の発言は、「すべての国および人種・民族は公平に取り扱う」とする御社コンプライアンスの観点から言っても大きな問題があると考えます。こうした民族や人種を一括りにして論じることは差別や排外主義いわばRacismを生む代表的な言説と言えます。

 2014年には国連人権規約委員会において、「日本は人種差別への対策をとるべきだ」という勧告も出されています。

勝谷氏の

「一人っ子政策で、(中国人は)教育、しつけというものが全然なされていない」
※( )は前後の文脈から加筆

 この発言についても、あたかも中国人全員がそうであると断じて、在住する中国人、観光などで訪れる中国人を一括りにして、侮蔑しその尊厳を傷つけるものです。これらの発言は特定民族への蔑視を含む差別的発言に他なりません。この件に関して以下2点、御社の対応を求めるものです。

1.今回の番組について、以下に示す貴社コンプライアンス「番組基準」と「取材・放送規範」に照らして問題がないかどうか精査しその結果を明らかにすること

「番組基準」
国家 すべての国および人種・民族は公平に取り扱い、その尊厳を傷つけてはならない。
「取材・放送規範」
〈人権の尊重〉 取材・放送は、人権を尊重し、不当に名誉を傷つけたり、不当にプライバシーを侵害してはならない。
一、人種、性別、宗教、国籍、職業などによって差別してはならない。

2.上記の結果、問題があると判断された場合は、ゲストコメンテーターである勝谷誠彦氏の一連の発言に関する謝罪もしくは発言の取り消しを制作担当者として責任をもって行いそれを周知すること

 さらに、貴社におかれましては人種差別撤廃条約(外務省のページ:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinshu/conv_j.html)の趣旨に基づき、今後も差別のない公平な社会の実現に向けて、報道機関としての責務を果たしていただきたくお願い申し上げます。

敬具

付記
ご多忙中とは存じますが、回答は遅くとも2015年3月6日までにお願い致します。

アムネスティ年次報告書 2014/2015

国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が2/25に年次報告書を発表しました。この報告書の英語版を入手しましたので、こちらで公開いたします。

Amnesty International Report 2014/2015

日本についての記述は以下の通りです。

代用監獄制度について(P26)
人種差別について(P28)
女性への暴力について(P29)
死刑制度について(P29)
国別リポート(P206)