NPO法人「外国人犯罪追放運動」(代表:有門大輔)が告知しているヘイトスピーチデモに関して、関係する行政機関、議員に対して以下の申し入れ書を、本日発送しました。
発送先は以下の通りです(合計158名)。
- 東京都知事
- 東京都議会議員(124名)
- 千代田区長
- 千代田区議会議員(25名)
- 東京都総務局人権部長
- 法務省人権擁護局長
- 東京都公安委員会委員長
- 東京都公安委員会委員(3名)
- 警視庁万世橋警察署長
2015/5/7
(宛先)様
〒169-0072 東京都新宿区大久保2丁目7−1
大久保フジビル 311 ペンの事務所気付
差別反対東京アクション
代表 石野雅之
ヘイトスピーチデモへの対策を求める申入書
前略
私は、市民団体「差別反対東京アクション」の代表を務めます、石野雅之と申します。「差別反対東京アクション」は、東京都で行われている差別扇動デモ(ヘイトスピーチデモ)に反対し、このようなデモが行われないよう行政の責任で対応することを求めて活動をしております。
さて、来たる5月17日(日)に、JR秋葉原駅を中心に人種差別を声高に叫ぶデモが予定されています。このデモの告知にはこのような文言が並んでいます(資料1:南関東地区スケジュール)。
「第二のカルデロン問題」と言うべきタイ人不法滞在者の少年(13歳)が日本で在留資格を求めて裁判を起しております。
こうした安易な在留特別許可の付与は、なし崩し的に日本の入管法、法治主義を破壊します。
ここで不法滞在外国人の合法化を止めなければなりません!
ここで速やかな国外退去を履行すれば合法化の流れは確実に止まります!
少年が可哀想だと言うのは可哀想だと言う側の傲慢! 本当に可哀想なのは当時13歳にして突如、北朝鮮へ拉致された横田めぐみさんら日本人拉致被害者です。
直ちに強制送還しましょう!
秋葉原は中国人観光客が特に多い電脳都市!
休日のアキバに大量の観光バスとともに氾濫する支那人どもに最大限の罵声を浴びせてやりましょう!
http://www.koudouhosyu.info/skantou/scheduler.cgi?mode=view&no=788
上記Webページを5月1日11:20に保存した記録:https://archive.is/t4sw7
このデモを主催しているのは、平成16年に東京都が認証したNPO法人「外国人犯罪追放運動」(主たる事務所:東京都台東区東上野六丁目10番地7号 金子ハイツ401号室/代表者:有門大輔)という団体です。この団体は「地域安全」「国際協力」を活動分野として「都民及び国民に対して、不法入国不法滞在外国人問題に関する普及啓発事業や外国人犯罪による被害者の救済支援活動を行い、社会の防犯意識向上と社会の安全に寄与すること」を目的として設立されていますが(資料2:NPO法人「外国人犯罪追放運動」定款)、実際には人種差別を扇動するデモ(ヘイトスピーチデモ)をしばしば行っております。2014年1月19日には蕨市〜川口市にて、2014年4月20日には豊島区池袋において、ナチスドイツの象徴として知られるハーケンクロイツの旗を掲げ、外国人を排斥し、また街中に差別扇動を振りまくデモを行っています(資料3:反中デモでナチス「ハーケンクロイツ」掲揚、資料4:日曜の池袋に白昼堂々「ハーケンクロイツ」)。
告知文の最後にあります「秋葉原は中国人観光客が特に多い電脳都市!」「休日のアキバに大量の観光バスとともに氾濫する支那人どもに最大限の罵声を浴びせてやりましょう!」とは、まさに人種差別に基づく暴力行為であり「ヘイトクライム」扇動とも言うべきものです。東京都並びに関係機関が、このようなデモを許可したということになれば、国際問題に発展する恐れもあり、絶対に看過できるものではありません。
告知文中にあります「カルデロン問題」とは、2008〜9年におきたフィリピン人一家に対する国外退去強制手続に関わり、日本で生まれ育ったカルデロン・ノリコさんの残留を求める運動を指します(資料5:カルデロン・ノリコ事件が語るもの)。この件に関して「在日特権を許さない市民の会(在特会)」は、蕨市にあるカルデロン・ノリコさんが通う中学校前で、外国人排斥を声高に主張し、当時中学生だったカルデロン・ノリコさんを名指しして「出て行け!」というデモを行っています(資料6:「在特会」ら、ノリコさんが通う中学前でデモ行進、資料7:在特会国民大行進 中学校前「追い出しデモ」)。これもまた人種差別に基づく暴力行為であり、ヘイトクライムに他なりません。
5/17のデモの主催者である有門大輔は、蕨市で行われたこのデモを模倣し、秋葉原でまた同様の暴力行為を行うことを宣言していることになります。なお、蕨市のデモを主催した在特会は、彼らが2009年から2010年にかけて行った京都朝鮮学校前での人種差別的な街宣行動に対する損害賠償請求裁判において、約1226万円の賠償の支払いと街宣活動の差し止めを命じる判決が、昨年12月9日に最高裁で確定していることを申し添えておきます(資料8:朝日新聞「ヘイトスピーチは差別」確定)。
同じく告知文中にあります「タイ人不法滞在者の少年」とは、日本に生まれ日本に育った15歳の少年、ウォン・ウティナンさんのことです。 ウティナンさんは、母親が不法滞在であったために小学校にも通えず、山梨、長野などを転々と隠れ住む生活を送っていましたが、2013年に甲府市の人権団体の支援を受けて中学校に編入し勉強を続けていたところ、2014 年 8 月に退去強制処分命令を受けました。ウティナンさんはこの法務省入国管理局の退去強制処分の撤回を求める訴訟を東京地裁に起こし、4月23日には第一回口頭弁論が行われています(資料9:日本で生まれたことが罪なのでしょうか)。
なお、カルデロン・ノリコさん、ウォン・ウティナンさんの処遇については司法の場で判断されるべきことではありますが、日本国が加入している自由権規約・社会権規約(国際人権規約)に基づき「人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき」「その領域内にあり、かつ、その管轄の下にあるすべての個人に対し、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしにこの規約において認められる権利を尊重し及び確保する」(自由権規約)ことが求められます。現在進行しているウォン・ウティナンさんの訴訟が、ウティナンさんの人権を守る視点からの判断が下されることを、私たちは心から願っています。
私たちは、人種や民族、出自、性別、性的指向を理由にした差別に断固として反対します。また差別を他人に強要し社会を扇動するヘイトスピーチを、差別に基づく暴力行為、ヘイトクライムを許しません。
私たちは貴職に対し、人権を守る日本国に生まれ育ち、地域行政に関わる公務員、議員として、このようなデモが実施されないよう最大限の努力をされることを強く要請し、以下の具体的な行動に早急に着手することを求めます。
貴職が私どもからの申し入れを真摯に受け止め、地域住民の安全と安心できる地域社会の実現のために奮闘されることを願っております。
草々
記
- デモの申請内容を精査し、地域社会に脅威をもたらすような内容と判断した場合は、直ちに中止もしくは是正のための処置を行うこと。
- デモを主宰するNPO 法人「外国人犯罪追放運動」の実態を調査し、特定非営利活動法人法や地域条例等に違反するような活動、行動がある場合には、認可取り消し措置を含め、直ちに適切な対応を講じること。
以上